愛というひとつの半分

「それ」にどういう言葉を与えていいのかわからないものばかりだ。
もっと共通する言葉のなかに押し込めることができれば、人生はもっと楽だっただろうと思う。

例えば「愛してる」という言葉を俺は使いたくない。
そんな氾濫する安っぽい言葉と同じではないからだ。誰もが自分だけのものを求めるわりに、人と同じありふれたものも欲しがる。それに愛は、失うまではわからないものだからだ。

たいてい面倒くさい奴…と、顔を顰められる。それは間違ってもいない。自分でも面倒臭い奴と顔を顰める。愛してると言っとけばもっと手軽に手に入るのだ。

面倒くさいから「愛してる」と言ってみたこともある。
その瞬間にもうその人がいらなくなった。

愛というのは、数日や数か月で育つものじゃない。風の日も雨の日も台風の日も地震の日も、ともに過ごし分かち合うことで、少しずつ「ひとつ」になっていくものだからだ。
半分になること。半分になってしまうこと。
それも軽々しく言葉にすれば、半分ではなくなってしまう。
言葉には置き換えられないものばかりなのだ。~Canon's word Synchronicity









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